スポーツ都市:台北の新たな取り組み
▲台北ドームが完成したことで、台北市は国际的なイベントや交流活动に参加する机会が増え、より国际的な认知を高めることができます。(写真・台北市観光伝播局)
文
Joella Jian
编集
下山敬之
写真
Brown Chen、Mike Sung、Tzuying Sun、台北市工务局水利工程処、台北市観光伝播局
治安の良さは地元住民、観光客に関わらず、その都市の生活品质を示す重要な指标です。安全面が心配な国では、その地域の风俗や文化を十分に楽しむことはできません。
様々なランキングを発表しているサイトRankingRoyalsが発表した「2023年世界で最も安全な市ランキング」によれば、台北は世界424都市のうち第4位にランクイン。また、世界各都市の安全指数や犯罪指数などを评価するNumbeoのデータベースによれば、台北は416都市のうち第3位という结果でした。
改善に向けた取り组み
台北市政府は、健康、治安、持続可能な开発目标を国际基准に近づけるために、过去2年の间に一连の改善政策を打ち出しました。蒋万安市长は就任1年目を「交通安全の年」と定め、「台北市交通安全计画」を元々の5年から3年に短缩することを宣言。この计画には、既存の交差点设计を改善するほか、アーケードの段差の平坦化、横断歩道の见直しや安全地帯の设置、歩行者専用道路の追加などが含まれています。これらの取り组みは、かつてCNNが台北市に付けた「歩行者地狱」というレッテルを剥がすために行われています。
▲蒋万安市长は、今年が台北市の「交通安全の年」と宣言しました。(写真・Mike Sung)
加えて、2030年までに二酸化炭素排出量を40%削减し、2050年までに排出量ゼロを达成するという具体的な目标を掲げ、そのために「スマート・ゼロカーボン建筑」、「グリーン物流、低炭素交通」、「ゼロ、ウェイスト」などの一连の环境政策を推进しています。
同时に蒋市长はスポーツこそ都市の竞争力であり、すべての市民が性别や民族を问わず楽しめる幸福への道であると考え、台北ドームの完成に注力しました。そして、市长のリーダーシップにより2023年にはアジア野球选手権大会の开催を実现し、2024年3月には日本の読売ジャイアンツと台湾のプロ球団による亲善试合を2试合开催するに至りました。こうしたイベントやスポーツ政策では、若者から高齢者まですべての世代が一绪に参加することが推奨されています。台北市政府は、台北市を安全で日常的にスポーツに取り组める未来型の都市にするための新たな取り组みを始めています。
台北ドームの歩み
台北市信义区にある台北ドームは「台北文化体育园区」とも呼ばれ、多目的型のドーム球场であると同时に台湾最大の屋内运动施设でもあります。
设备はアメリカの赤土や日本の人工芝を取り入れるなど世界トップクラスとなっているほか、台湾の选手が国际的な环境に惯れ、国际大会でのパフォーマンス向上が図れるようにと、メジャーリーグ(MLB)の基准を満たした设计となっています。特に注目をすべき点は、グラウンドから最后部の高さが74・5mに及ぶドーム型の构造です。これはアメリカや日本の大型ドームと比べても高い设计となっており、球场全体を见渡せる开放的な景色が楽しめます。
▲メジャーリーグの球场に匹敌するこのスタジアムは、台北市だけではなく、台湾の新たなランドマークとなるでしょう。(写真・台北市観光伝播局)
台北ドームの建设计画は、1991年11月10日に行われた台湾シリーズの优胜决定戦がきっかけで始まりました。その日は不运にも大雨に见舞われ、球场にいた13000人の観客はずぶ濡れとなり、兴奋した観客が球场に足を运んでいた行政院长・郝柏村氏にドームの必要性を诉えました。
数日后、行政院长は台北にも日本のドームのような大型スタジアムが必要として、建设计画を指示しました。台北ドームの名称は东京ドームの爱称である「ビッグエッグ」になぞらえ、华语で「大巨蛋」と表记します。
しかし、台北ドームの-建设は思うように进まず、32年に及ぶ歳月と6人の市长の交代を経て2023年10月20日に完成し、同年12月2日に正式オープンしました。
▲アジア野球选手権大会の闭会式に出席する蒋万安市长。(写真・台北市観光伝播局)
台湾の野球は国际的にも评価されており、台湾の人たちにとっても国民的なスポーツです。台北ドームは国际大会の会场としてだけでなく、台湾野球界の底上げにも活用されます。例えば、近隣诸国や高校の野球チームに対して奨励金を支给していますし、ドームを学生大会の会场とすることで、选手たちが若い顷から国际基准の球场でプレーできる机会を提供しています。
台北ドームの完成により、台北市では国际大会や交流イベントに参加する机会が増え、将来的にはレベル1やレベル2のグレードの高い国际试合も行われる予定です。野球界のレジェンドである王贞治氏も、台北ドームをアジアで一番の素晴らしいドームであると称賛しています。この球场は台湾の选手たちに惯れ亲しんだ场所で戦う机会を与えると同时に、台北市の国际的な知名度を高め、より多くの観光客が访れるきっかけとなるでしょう。
▲台北ドームと国父纪念馆は地下通路でつながっているので通行が分散され、混雑しにくい构造になっています。(写真・台北市観光伝播局)
长い年月をかけて完成したこの球场は、野球を爱する人々にとって梦が现実となった场所と言えます。ぜひ台北を访れる际には台北ドームに立ち寄り、これから刻まれていく歴史の1ページを体験してみてください。
台北市のスポーツ习惯
近年、台北市のスポーツ习惯は徐々に広がりを见せています。统计によれば、习惯的にスポーツに取り组む人口の割合、全国的なスポーツ大会における结果、全国的なスポーツ大会への参加人数、自治体のプロスポーツチームに対する补助金の额など様々な点で各都市をリードしています。
▲健康ブームに合わせ、ペットと一绪に外出し健康を维持しましょう。(写真・Tzuying Sun)
台北市政府は台北ドーム以外にもスポーツ政策として「スポーツ推进の3ステップ」、「アスリート育成の3ステップ」、「大型イベントを通じたスポーツ文化と経済発展の促进」という3つの柱を采用し、台北市を大规模なスポーツの拠点とすることで、市民の规则正しい运动习惯を养い、幸福な生活が送れるよう取り组んでいます。
▲台北の公园は家族で楽しめる场として人気で、子どもたちの运动への意欲を育むことができます。(写真・Brown Chen)
また、台北市は今年「スポーツセンター2.0プロジェクト」を始动しました。このプロジェクトは多様で総合的なスポーツ施设を设立することで、市のスポーツの発展を促すことを目的としています。プロジェクトの中には、各行政区におけるスポーツ施设のリソースの评価、公共のスペースや学校のキャンパス、利用可能な场所を评価した上での多目的なスポーツ施设の设置计画が含まれており、いずれもスマートな持続可能性、多様なコミュニティ、国际的な竞技スポーツ、地域の特性といった要素が考虑されています。
各行政区に一つのスポーツ施设を设置することを基本とし、スポーツ活动のためのスペース拡大や施设の整备を通じて、すべての年齢层の人がスポーツに取り组める都市を目指しています。これによって市民は健康で持続可能性があり、楽しい生活を送ることができます。同时に、地域全体の包括的な施设として、ユニークなスポーツ会场やスポーツセンターを设立すべく取り组んでいます。质の高いインフラを提供し、国际的に有名なスポーツイベントを开催することで、世界に「スポーツ都市」として台北を认知してもらうことを目指しています。